関西の冬のおばんざいとして欠かせぬ魚が甘鯛です。京都ではグジとも呼ばれています。横顔がほおかぶりをした尼さんのそっくりなので「尼鯛」と名付けたという説も。

タイと言っても”あやかり鯛”で、タイ科ではなくアマダイ科。白、赤、黄の種類がありますが、キメが細かく脂があって加熱しても身がヤセない白甘鯛が上等です。

料理法も多彩で、関西の料理人の真価が問われる魚といっても過言ではありません。

特に鮮度の良い物は3枚におろしてお造りに。塩昆布を細かく刻んだものを添えても良く合います。余った頭は二つに割り、塩焼きにしてみをほぐし、お茶漬けにどうぞ。

小型のものをウロコをつけたまま背開きにしてうす塩をし、寒風にさらして生干しにしたものは徳川 家康が好んだ興津(おきつ)鯛とも呼ばれ、絶品です。

甘鯛のウロコを包丁ですいてとり、三枚におろしてうす塩をし、すりおろしたカブラに卵白を加えたものをかけ、昆布をひいて酒をふり、蒸しあげたカブラ蒸しも冬を代表する料理です。

変わったものでは、甘鯛の上身でポテトサラダをはさみオーブンで焼いたものや、グラタンに仕立ててもおいしく、若い人に人気があります。